私自身、昆虫の世界で最もカッコいいと思うのが【スズメバチ】。
毎年のよう刺されて無くなる人がいて、我が国の獣害でも熊や毒蛇を抑えてトップに君臨する事から日本で最も凶暴で危険な生き物と認識されている事でしょう。
しかし、彼らは決して無差別に攻撃を仕掛けるのではなく
スズメバチが刺すのは巣を守るための防衛本能!

スズメバチに刺されたケースは、人間が巣に気づかず近づいた事が原因なんです。
巣を守るためなら、仲間が力を合わせて全力で戦う【スズメバチ】。
今回は、そんな【カッコいいスズメバチの生態】について解説していきたいと思います。
- スズメバチのカッコ良さとは?
- スズメバチの生態とは?
- スズメバチに刺されたら?
スズメバチがカッコいい4つの理由
ここでは、私が思う【スズメバチがカッコいい理由】について解説します。
危険を表現する体
体の表面には黄色と黒の縞模様で配色されていて
いわゆる【警告色】または【警戒色】と呼ばれています。
日常生活でも道路標識や遮断機など、危険を表現する配色パターンなんですよね。
自然界でもトラや蛇、その他の毒を持つ生物なども存在します。
しかしスズメバチは色が濃く、オレンジに近い黄色な所もダークなイメージがあってカッコいいんです。
迫力ある威嚇行動
冒頭でも言った通り、スズメバチが刺すのは巣を守るため。
もしも巣に近づいた時、彼らは巣から飛び出し
∞状に飛びながら、大あごを『カチカチ』と噛み鳴らすんです!
この行動は
「それ以上近づいたら、容赦なく攻撃を仕掛けるぞ!」
という最終警告。

アクション映画で言うと、銃を構えて「動くな!」って言ってるような感じですね♪
ほとんどの人が、この警告を「知らない」か「気付かない」ため刺されてしまう被害が起こるんです。

スズメバチはちゃんと警告しているため、見かけたら耳を澄ませて様子を見て下さい。
戦闘力の高さ
単体での戦闘力の高さも魅力。
攻撃力 | 何度も刺せる毒針 |
防御力 | 硬い外皮で覆われる |
機動力 | ホバリングが可能な飛行 |
毒液は直接注入するだけでなく噴射する事で【中距離攻撃】も可能で、万が一毒液が目に入ってしまうと失明の恐れもあるほどの威力!
それだけでなく【ロックオン】の効果もあり、毒液がかかった標的を集団で襲いかかるという戦術を取るんです。
さらに毒針だけでなく
大顎も強力な武器となります!
スズメバチは僅か数十匹で4万匹ものミツバチの巣を全滅させる事ができ、その際の攻撃方法は噛み千切るんです。

特にセイヨウミツバチはスズメバチに対抗するすべを持たず、一方的に虐殺されてしまうんですよね…。
そして昆虫界でも【ホバリング】ができるのは、他にはトンボとアブぐらいです。
ぶっちゃけ飛行能力だけならトンボ(オニヤンマ)の方が上ですが、総合的な攻撃力ではスズメバチに軍配が上がるでしょう。
軍隊のような統率性
スズメバチの社会は1匹の【女王蜂】を中心に群を作り、他の働き蜂は命懸けで巣を守ります。
巣の入り口には常に見張りの蜂を配備し、異常を感じると【警戒フェロモン】を出し仲間に通達!
気付いた仲間の働き蜂たちが飛び出し、侵入者へ警告を発し無視すれば攻撃を開始します。
警告に気付き侵入者が立ち去っても警戒態勢は解かず、働き蜂は付近をパトロールして安全を確認してから巣に戻る徹底ぶり。

まるでゲームの【メタルギア】のようですね。
スズメバチの生態
毎年のように刺傷被害が報告されるスズメバチですが、被害を予防するためには相手の事を知る必要があります。
ここからは【スズメバチの生態】について解説します。
様々な種類
現在、日本国内で確認されているスズメバチは【3属17種】いると言われています。
スズメバチ属 | 8種 |
クロスズメバチ属 | 5種 |
ホオナガスズメバチ属 | 4種 |
中でも我々の生活で危険な存在は【スズメバチ属】。
オオスズメバチ
体長は27~40mmほどで、全体的にオレンジっぽい色をしています。
非常に獰猛な性格で大型であり
毒の量も多く最強のスズメバチ!
人の目線よりも高い位置に巣をつくるケースは少なく、主に土の中や木の根元に巣をつくるため見つけるのが困難で気付きにくいと言えるでしょう。

登山やハイキングで襲われるケースが多いですね。
春から夏にかけては他の昆虫を捕食しますが、エサが少なくなる秋頃からはミツバチや他のスズメバチを襲う事もあります。
キイロスズメバチ
体長は17~25mmほどで、全体的に明るめの黄色をしています。
人間の生活に近いため
刺される被害が最も多いスズメバチ!
巣の大きさで引っ越しする習性があり、規模が小さい時は木の窪みなどの人目につかない場所で設営します。
しかし大きくなると軒下など目立つ部分に巣を作り、その大きさはスズメバチの中でも最大規模の大きさとなります!
こうなると素人での駆除は不可能となり、プロの駆除業者への依頼は必須といえるでしょう。

オオスズメバチと比べると、毒の量は少ないですが痛みは上ですよ…。

ヒメスズメバチ
体長は25~37mmほどで、お尻の先端が黒いのが特徴。

お尻の先端が黒いのはヒメスズメバチだけで、見分ける事が簡単と言えます。
サイズ的にはオオスズメバチの次に大きいんですが、性格は温厚で毒は弱いため危険性は低いです。
しかし
毒針が長くて太いため、刺されると激痛に襲われる事になります!
主にアシナガバチの幼虫を襲うスズメバチであり、巣の形もアシナガバチに近いシャワーヘッド状の巣を作ります。
頻繁に見かけるようなら近くにアシナガバチの巣があるかも知れません。

チャイロスズメバチ
体長は17~24mmほどで、頭と胸が茶色く腹部は黒い模様をしています。
チャイロスズメバチの特徴は
キイロスズメバチやモンスズメバチの巣を乗っ取る事!
チャイロスズメバチの女王蜂は、対象の働き蜂が孵化する頃に敵の巣に単独で乗り込み主の女王蜂を殺します。

タイマンに備えて外骨格が他のスズメバチより強くなっています。
その後、自分の卵を産み付けるんです。
こうする事で、先に産まれた働き蜂に新しく産まれた幼虫の世話をさせる事が可能。

つまり、腹違いの妹の世話をさせるって事です♪
先に産まれた働き蜂が天寿を全うする頃、残っているのはチャイロスズメバチだけで巣の乗っ取りが成功します。
チャイロスズメバチは発見例が少なく、見つかっていない地域もあるため【希少種】でもあるんです。
コガタスズメバチ
体長は22〜28mmほどで、外見がオオスズメバチにそっくりなため区別するために【コガタ】と付けられました。
実際は、スズメバチの中でも大きいほうなんです。
個体によってサイズにバラつきがあるため
パっと見でオオスズメバチと見分けるのは難しいと言えるでしょう。
しかし巣は、キイロスズメバチと同様に人の生活圏に近い場所に作る事が多く、軒下などに巣があればコガタスズメバチと判断できます。
性格は最も温厚ですが防衛本能は高く、相手を追跡してくることがあるので注意!
モンスズメバチ
体長は20~27mmほどで、腹部に赤いラインが入っているのが特徴です。
主にセミを狩るスズメバチで、セミの減少と共に生息数は減少気味…。
多くのスズメバチは夜になると活動しませんが
モンスズメバチは夜の10時頃でも飛行する姿が確認されています。

夜にスズメバチを見かけたら、モンスズメバチとみて間違いないですね♪
巣は屋根裏や床下など人目につきにくい場所に設営する事が多く、キイロスズメバチの様に手狭になると引っ越しする習性があります。
ツマグロスズメバチ
体長は20~22mmほどで、腹部が黄色と黒にはっきり分かれているのが特徴。
ツマグロスズメバチは
北海道や本州には生息せず、沖縄よりも南で活動します。

沖縄に住んでいる方や、旅行に行った方しか見かける事はないでしょう。
台風が上陸しやすい地域であることから、風の影響を受けにくい地面付近に巣を作る事が多いです。
スズメバチの中でも体は小さい方ですが、獰猛な性格で毒も強いので沖縄では被害が報告されています。
ツマアカスズメバチ
体長は17~25mmほどで、全体的に黒っぽくお尻の先端がオレンジ色で足先は黄色いのが特徴。
ツマアカスズメバチは
日本の在来種ではなく、東南アジアからやってきた外来種です!
長崎県対馬市で定着が確認され、九州地方を中心に発見報告が相次いでいます。
生活する巣の大きさは、国内最大規模のキイロスズメバチをはるかに上回るほどのサイズに成長!
主にミツバチを狩るため生態系の影響が出る可能性があり【特定外来生物】に指定されています。

養蜂場のミツバチが襲われたケースもあるんですよね。
スズメバチの活動時期
スズメバチは1年中活動する訳では無く、主な活動期間は春から秋にかけての4~11月です。
1~3月 | 新生活に備えて女王蜂は冬眠中 |
4~5月 | 目覚めた女王蜂が1匹で巣作りと産卵 この時の巣はとっくり型 |
6~7月 | 誕生した働き蜂が巣作りに協力 徐々に巣は球体へ |
8月 | 巣の規模が40cmを越えてくる 働き蜂の数は300匹以上に |
9月 | 新しい女王蜂が誕生 巣は完成し最大規模になる |
10月 | 女王冬眠に備え必死でエサ集め 餌の減少に伴い凶暴化する |
11~12月 | 働き蜂達が役目を終える 女王蜂は朽木などで冬眠 |
活動する時間帯は人間の生活と同じで
朝日が昇ると活動を始め、夕日が沈むと巣に戻り休む生活です。

例外は、夜も活動するモンスズメバチだけですね。
また、スズメバチの羽は雨で濡れると重くなり飛行能力が低下します。
このため、体が濡れるほどの雨が降っている日は巣でじっとしている事が多いです。
ただし、小雨程度やエサの少ない秋頃は普通に狩りに出かけるため注意!
スズメバチのオスは刺さない
スズメバチに限らず、蜂が持つ毒針というのは
産卵器官が変化したもの!
このため、卵を産まないオスには毒針自体が存在しないんです。

つまり、出会っても刺される事は無いんですね♪

ぶっちゃけ蜂社会でのオスの役割は、エサ集めや幼虫の世話ではなく交尾のみです!
オスとメスの見分け方は
- オスの方が腹部の先が平たい
- オスのほうが顔が小さい
- オスのほうが触覚が短い
ただし見極めるのは非常に困難ですので、スズメバチを見かけたら観察せずに逃げるのが無難です…。
もしもスズメバチに刺されたら?
スズメバチの毒は、アミノ酸をベースにした化合物で非常に強力です。
刺されると
- 痛み
- 腫れ
- 発疹
- めまい
- 嘔吐
- 血圧低下
- 筋肉の痙攣
などの症状を引き起こし、最悪の場合死に至る事もあります。
強烈な痛みと腫れ
スズメバチの毒に含まれる痛みの成分は
- ハチ毒キニン
- ヒスタミン
- セトロニン
中でも【セロトニン】は、スズメバチとアシナガバチが持つ毒成分であり、ミツバチの毒には含まれていません。
つまり、同じ蜂でもミツバチよりも痛いのは間違いなし!
症状の現れ方には濃度や量が影響し
量が多いのは【オオスズメバチ】で、濃度が高いのは【チャイロスズメバチ】なんです。
死に至るアナフィラキシーショック
アナフィラキシーショックとは
アレルゲンなどが体内に入ることによって、複数の臓器や全身にアレルギー症状が表れ、命に危険が生じ得る過敏な反応が出ることをアナフィラキシーといいます。その中でも血圧低下や意識レベルの低下、失神を伴うなど、重症の場合をアナフィラキシーショックと呼び、すぐに治療しなければ命を落とすこともあります。
https://doctorsfile.jp/medication/446/
スズメバチの毒は、複数の成分で構成されていて【毒のカクテル】と呼ばれているんです。
つまり
体内に侵入するアレルゲンが多く、一斉に反応することでアナフィラキシーショックを起こす確率が高いんです!

実際、毎年のように10人以上はスズメバチによって命を落としているんですよね…。

コメント