自動車保険とならび、我々にとってなじみの深い損害保険が火災保険でしょう。
しかし、車を所有している方の90%は自動車保険(任意保険)に加入していますが、火災保険の場合
70%程度の家庭しか加入していません
賃貸の場合は義務の契約が多いんですが、持ち家となるとオール電化の住宅も増えていますので
「火事の心配なんてない」
と考える家庭も多いのが原因でしょう。
しかし、火災保険という名前が付いていますが
火事以外でも補償してくれるんです!

このためボクは、持ち家でも賃貸でも火災保険には必ず加入しておく事をオススメします。
その理由は何なのか?
今回は【火災保険は何に使えるのか?】について解説していきたいと思います。
- 火災保険の使い道
- あると便利な特約
- 地震保険も入るべき?
火災以外に何に使えるのか

明治32年、我が国には【失火法】という法律が制定されました。
この法律の内容は
故意や重過失を問われるものでなければ、失火者は類焼した他人の家に対する賠償責任はない
昔は木造の長屋住宅が多く、どこかで火災が発生すると全てを焼いてしまう事態が多かったんですよね。

そこで、失火者に過大な責任を負わせないために作られた法律なんです。
もしも火事になったら
持ち家の場合
隣の家からのもらい火で自宅が全焼したとしても、法律上は隣人に対して損害賠償を請求する事は出来ません!
実費で修理するお金がある方は問題ないですが、ほとんどの方には無理な話。
このため、自分の家を守るためには自分で保険に加入しておく必要があるんです。
賃貸の場合
契約時に火災保険の加入が義務付けられている事がほとんど。
借りている人が火事を起こした場合、隣や上下の住民に対しては賠償責任は生じませんが建物の所有者である大家さんには賠償責任が生じます。
このため、建物ではなく【家財】に対しての保険をかけておく必要があり
借家人賠償特約のある火災保険
このタイプでなければ意味がありません。
自然災害にも対応している
近年は耐火技術の向上もあり、木造住宅でも燃えにくい構造になってきています。
このため火災のリスクは減ってきているんですが、それ以外の自然災害のリスクが増えてきているんですよね。

実際、火災保険の支払い例を見てみると上位を占めるのは火災以外なんですよね。
下の表は、災害内容と補償内容について(一般的な例)
災害例 | 限定列挙型 | オールリスク型 |
火災 | 〇 | 〇 |
落雷 | 〇 | 〇 |
破裂・爆発 | 〇 | 〇 |
風災・雹災・雪災 | 〇 | 〇 |
飛来・落下・衝突 | × | 〇 |
漏水 | × | 〇 |
盗難 | × | 〇 |
水害 | × | 〇 |
破損・汚損 | × | 〇 |
総合型のように何でも補償してくれるタイプはありがたいのですが、その一方で保険料は割高になってしまいます。
そのため、補償が必要ないリスクは外して保険料を抑えるといった工夫が必要。
水害
これは台風や豪雨によって河川が氾濫した際の補償ですが、河川の近くに住んでいない場合やマンションの2階以上に住んでいるなら必要性は低くなりますよね。
破損・汚損
例えば車をガレージに入れる際にぶつけてしまった時、ガレージの修理代が保証されますが本当に必要と言えるのかを見極めましょう。
逆に
絶対に付けておきたい補償が漏水!
例えば水道のトラブルで室内が水浸しになってしまい、家具がダメになってしまった場合などが支払い対象となります。

このトラブルは意外と多いので付けておく事をオススメします。

持ち家でも使える火災保険の範囲

先ほど説明した通り、賃貸住宅の場合は家財に対して保険をかける事は必要。
では、持ち家の場合はどうなのか?
建物と家財の定義
火災保険のは【建物】を対象にするものと【家財】を対象とするものがありますが、この2つを区別する定義として
建物に付随していて動かせない部分は【建物】、動かす事が可能な物は【家財】。
つまり、システムキッチンやクローゼットなんかは建物、テレビや家具などは家財といった具合です。
家財の中でもオールリスク型保険に加入していれば、屋外に持ち出した時の破損・盗難に対しても補償されるのが特徴。
例えば、子供の運動会をホームビデオで撮影していた時に壊してしまった場合など、ビデオカメラに対して保険金が出ます。
泥棒に入られ物が盗まれたら
災害の中でも、天災ではなく人災被害あった事がとなるのが盗難です。
私の知人も被害にあった事がある【空き巣】に入られたケース
窓ガラスが割られ、貴金属が盗まれた場合
契約内容が【建物】だけであれば、壊された窓ガラスの修理代金しか出ません。
一方、家財にも保険をかけておけば窓ガラスの修理代金に加え盗まれた貴金属も保証されます。
私なんかは家に高価なものが無いので心配いりませんが、中には高価な時計やアクセサリーなんかをお持ちの方は助かる保障といえるでしょう。

火災保険と個人賠償特約はセットで付けておく

火災保険の中には特約として【個人賠償特約】というものをセットで契約できる場合があります。
この特約の最大のメリットは、日常生活における全ての賠償責任がカバーされる事です。
偶然の事故にも対応できる
日常生活の中で、自分自身だけでなく子供や家族が起こした偶然の事故にも対応が可能。
例えば
- 百貨店で誤って展示品を壊してしまった
- 自転車で歩行者に怪我をさせてしまった
- 子供が遊んでいて近所の車を傷つけてしまった
- 風呂場の水を出しっぱなしにしてしまい、下の階に水漏れしてしまった
こういった様々な思いもやらない事故に対応してくれる特約で、しかも保証金額も億単位と高額。
近年では自転車による事故が問題となっていて、自転車でも保険への加入が義務付けられていいますがこの特約があれば相手への賠償問題は解決してくれるんです。
それでいて年間にかかる費用は2,000円程度と非常に安く、忘れずに付けておきたい特約と言えます。
特約を付ける際に気を付けておきたいポイント
もともとは単体の保険商品で『個人賠償保険』として売られていた商品でした。
しかし、あまりにもお客にとっていい商品過ぎたため保険会社としては割に合わず、今では特約という形でしか販売できなくなったという経緯があります。
このため火災保険だけでなく、生命保険や自動車保険にもつける事ができるため
特約が重複しないように注意が必要!

なぜなら2つ契約していても、保証金が2倍支払われるわけではなく保険会社で折半するからなんですよね。
つまり、貰える額は同じになるのに掛け金は倍になってしまうからなんです。
そしてもう一つの注意点として
示談代行サービスが付いているタイプを選ぶ事
自分が加害者になってしまった場合、負い目を感じてしまうと相手との交渉には心身ともに疲れてしまいます。
このため、代わりに示談をしてくれるのは助かるサービスと言えるでしょう。

地震保険も入るべき?

地震保険というものは単体で加入する事はできず、基本的には火災保険の特約という扱いになります。
近年では建造物の耐震性を定める【建築基準法】が厳しくなっているため、以前よりもはるかに地震に強い構造となってきています。
このため
「別に地震保険はいらないんじゃないの?」
と考える方も多いようです。

でも、ちょっと待ってください。
地震保険の必要性
確かに地震による家屋の倒壊は減ってきているかもしれませんが、それだけではなく津波や火災の被害までカバーしてくれるのが地震保険なんです。
というのも、地震発生から72時間以内に起きた火災は地震によるものとみなされるため、
火災保険の支払い対象にはならないんです!
つまり大きな地震が発生した地域で3日以内に火災で家が焼けたとしても、地震保険に加入していなければ保険金は出ないという事なんです。
これは津波の場合も同じ事。
河川の氾濫と違い、地震による津波での水害は火災保険の対象とはなりません!


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